― 正義感の強い青年の痛快な奮闘記。
夏目漱石の代表作『坊っちゃん』は、「まっすぐすぎる男」が主人公の青春小説です。舞台は明治時代。正義感は強いけれど、不器用で世渡り下手な青年・坊っちゃんが、四国の中学校に数学教師として赴任し、曲者ぞろいの教師たちに振り回されながらも、自分の信じる正しさを貫こうとする物語です。
坊っちゃんは思ったことをすぐ口に出し、行動も直情的。でも、その不器用さこそが魅力です。理不尽や裏表のある人間に腹を立て、憤慨しながらも、最後にはスカッとするような痛快な展開が待っています。
漱石のユーモアあふれる文体とテンポの良さは、100年以上経った今も色あせません。「山嵐」「赤シャツ」「うらなり」など、あだ名で呼ばれる登場人物たちとのやり取りも印象的で、読者を飽きさせない工夫が随所に見られます。
自分の信念を貫くとはどういうことか。坊っちゃんのまっすぐな姿勢から、現代の私たちも多くのヒントを得られます。正しさとは何かに迷ったとき、もう一度読み返したくなる一冊です。
前回の記事↓
